こんにちは2月。さようなら2月。来たと思ったらもう終わっていた2月。
皆さん、いかがお過ごしですか?私はといえば、値上げする前にマクドナルドに駆け込み、ありふれた物を頼んだあとで「このあと値上げするならビッグマックとか行っときゃよかったな」なんてしょっぱい考えごとをしたひと月でした。
我ながら、もうちょっと、こう、ないんか?
レコードは色々買いました。楽しいものから、わからないものまで。色々!
Lynn Cornell「Moanin'」
英国のひとが歌っています。シングル盤でだけ出た一枚です。渋い。しかもこの曲はシングルのB面なんですよ。さらに渋い。
良いですよ。出だしがスキャットですもの。良いに決まってる。
レコードに針を落とし、しばしの静寂ののち浮かび上がる、ミステリアスなスキャット。闇に立ちのぼるたばこの煙のような声。ドラマの始まりですよこれは。
歌とピアノの掛け合いという静かな立ち上がり。スモーキーなサックスとドラムのブラッシングがこれまたほの暗く危険なかっこよさ。曲の中盤にサックスと歌が絡むところがあるわけですが、こんなに静かで、しっかりホットなクライマックスがあっていいんでしょうか。いいんですね。たまりませんね。
そんな調子でウキウキしているとあっという間に終わってしまうのです。寂しい!でもこのくらい短いほうが潔くていいのかも。これがシングルサイズ。
ところで、リン・コーネルは、「ヴァーノン・ガールズ(The Vernon Girls)」というコーラスグループの一員としてキャリアをスタート。このグループ、「ヴァーノンズ・プールズ」(Vernon's Pools)という、サッカーの試合結果で賭け事をする会社の社内活動の一環で生まれたものらしい。さすがイギリス。
1960年にソロ活動を開始、その年に映画「日曜はダメよ(Never on Sunday)」の主題歌をカバーしたシングルがヒットしたのだそう。70年代にはThe Pearlsというボーカルデュオを結成し、そこでもなかなかのシングルヒットを飛ばしたようですよ。
Archie Shepp「Day Dream」
これまで、アーチー・シェップは「Attica Blues」を知っているだけで、どことなく私にとって縁遠い存在でした。たまたまYouTubeで見た海外ニキが「Masterpiece」だと語った曲『Blasé』が不思議としっくりきたのをきっかけに、彼の音楽を聴いてみようと思い立ったのでした。
そこで手に取った一枚がこのLP。いわゆるジャズのスタンダード(定番曲)をやってるアルバムです。日本のレコード会社が企画したアルバムで、2026年2月現在、このアルバムは日本でしか出ていないようです。
一曲目の『Don't You Know I Care』がすごかった!ソプラノサックス。極楽につながる蜘蛛の糸のように細く、天使の羽のように舞い上がる。悶えながら絞り出した人間臭い音も、やがてまろやかに空気中に溶けていく。全身全霊でコントロールされた音色が、天にも昇るような心地よい時間へ誘ってくれます。この一曲だけでもレコード買ってよかった!と思えたほど素晴らしい演奏。
続く『Caravan』は一筋縄ではいきません。切れ切れなサウンド。原曲のメロディーを分解し、音楽として成立するギリギリのタイミングに音の断片を配置したような調子でテーマを演奏すると、そのまま猛烈な音数のソロになだれ込みます。
ここまで約1分。音のジェットコースター。ひねり、ねじれ、自らがかき回した時空の渦を突っ切っていくようなソロ。ここまできたらあとは何が起きたかわからないままひたすら圧倒される時間。怒涛!
『Satin Doll』は、クラッシュしたF1カー並みの勢いでピアノへ突っ込んでいくサックスに驚くものの、その後は原曲のメロディーを意外と(?)崩さずジェントルな展開に。ソロでは激しく縱横に駆けまわりつつ、リズムに合わせて体が揺れる=スウィングする感覚は温存されているのが面白い演奏です。
その流れで?BYGレーベルのLPを、フランス盤と日本盤(東宝芸音)それぞれ手にする機会を得ました。貴重(当社比)。
フランス盤は小さいんですね。30cmないんでないかしら。ザラっとした、造りから受ける印象そのままのラフな響きは、激しい演奏をよりホットに聴かせてくれます。演奏の熱気がそのまま盤に焼き付いたような音というか。音楽というより「事件の記録」に立ち会っているような感覚になります。ただ、ジリつくようなバックグラウンドノイズがあるのは保存状態の問題だけではなさそう?
対して東宝芸音の日本盤はノイズが少ないのはもちろん、音が滑らか。元々はこんなに丁寧に録音されていたのね、とうっとりしながら聴きました。
でもやっぱりフリージャズは、私にはいまだ難しく、わからないこともある領域だなあ、という感想。まだまだわからないことがたくさんだ!