La Vergne Smith「La Vergne Smith」
気分がさっぱりするアルバム。1956年作。水色の背景に白いドレスが映えますね。
ラヴァーン・スミスはニューオーリンズを拠点にピアノの弾き語りをしていた人。1曲目の「Blue Skies」から良い感じです。ブルース風味がこってり乗っかったバリトン・サックスと涼やかなヴィブラフォンの組み合わせ。旨味は濃いけど胸焼けしない、いい塩梅の演奏です。
「Out Of Nowhere」では、さらにミュート・トランペットが加わりグッとおしゃれな音に。ささやき、つぶやきレベルまで抑制されたトーンでサラッと歌うラヴァーン・スミスの歌いかたが雰囲気にピッタリ(ちなみに、他の曲ではほんとにささやき声が入っていますよ)。
ニューオーリンズのジャズ(ディキシーランド・ジャズ)と言うと、陽気なリズムと大音量で圧倒される印象があるのですが、ここでは伴奏も穏やかなハスキーボイスに合わせているのでしょうか、ちょっと背伸びして(?)モダンにスウィングしています。それでも滲み出るいなたい感じがたまらなく良い味わいです。
木久扇師匠の「嫌〜んバカ〜ん」の元ネタでおなじみ、ディキシーランド・ジャズといえば!の名曲「St. Louis Blues」もあっさりと。あんまり落ち着きすぎるとただのお行儀の良いお歌になってしまうところ、時折ヒョイッと加えられるアクセントがクールなのです。なんとなく聞いているだけで気分がさっぱりしてきますね。
これはまさしく、夏の帰り道、ぐったりするような湿気と暑さのなか歩き続け、ようやくありついた冷たい一杯。その喉越し。肌のベタつきも忘れるような至福の清涼感。まさしく疲労に効きます。癒されますね。よくわからなかったら、いっかい疲れてから聴いてください。とりあえず肉体をサウナに放り込んでみましょうね。
疲れに効くという意味で思い出されるあのRuby Braffのアルバムのように『「はい!今日はおしまい!お疲れさん!」てな調子でスイッチを切ってくれる』ような即効性はないわけですが、アルバム一枚聴き終える頃にはこのまま寝ちゃおうかな~というくらいには夢見心地になれる、そんなリラックス成分がありますよ。
これを書いているときの東北地方は、(ありがたいことに)夕方になればエアコンいらずの涼しさ。窓を開けて、しばらく横になって、風を感じながらこのレコードをかけたいですね。
Franco Cerri「Quartetto Franco Cerri Con I "Choristers"」
上の文章を書いてから2週間近く経ちまして、きょう(2026/08/24)までのわが県は熱帯夜のボーダーラインスレスレをくぐり抜ける夜が続いています。気温でリンボーダンスをするな。
イタリアのジャズです。1960年作。EP。4曲入り!かわいいね!私は2009年に日本で復刻されたものを購入しました。オリジナル盤もほし〜ね。
フランコ・チェリのギターと、男声コーラスグループ「I Choristers」のスキャットをフィーチャーした一枚。スーツ姿のチェリ。似合いますね。シュッとしています。眼鏡男子ですね。いいですね。
「I Choristers」については詳細不明。ジャケットではシルエットしか見えません。肝心の音源ですが、なんと、デジタル配信されていません。わあ!ということで雰囲気だけでお楽しみください。
出だしからデュッデュブデュッデュッとご機嫌にスキャットする「Straike Up The Band」がお気に入り。「Honeysuckle Rose」も快適なスウィング感のいい演奏。こちらは比較的ギターがメインで、合間合間にコーラスが挟まる構成です。このコーラスがなかなか素敵で、「黄金の七人」といったイタリアの映画音楽を思い出すなどしました。
「Gypsy」と「I Should Care」の2曲はロマンティックなバラード。どちらもChoristersのコーラスから始まり、チェリのギターへバトンタッチしてメロディーへ……という流れ。このコーラス、なんか似てるな〜と感じたのがブラジル音楽。まさかのボサノヴァ!複雑なハーモニーはアメリカのフォー・フレッシュメンの影響を感じさせつつ、彼らほどエンタメ!ショービズ!ハリウッド!的なド派手なにおいを感じさせない素朴なコーラスワークや、耳に残る裏声の存在感は、オス・カリオカスやタンバ・トリオなど、1960年代ブラジル音楽のそれに似ていて面白いなあと思いながら聴いていました。なんだろう、この不思議な似かた。