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基本的に誰も得をしない文面

今年聴いた音楽:2024年6月

6月。はじめは「4月のほうが暑かったかも」なんて思っていたが、月半ばを過ぎたら一気に夏の気温になった。

カラッと晴れた暑い日が続くうちに、コーヒーゼリーが食べたくなった。味というより、ガラスの器とゼリーがキラキラしているのが見たかった。

ある日はファミレスで食べ、ある日は自宅で作って食べた。ゼラチンの加減がわからず、ジュレみたいな、ゆるいゼリーになってしまったが、ガラスの器に盛られたゼリーはとても綺麗だった*1

あと、すいかバーをストックした。よく食べた。すぐなくなった。また食べたい。

ここからは今月聴いた音楽について書きます。

 

The Dick Morrissey Quartet「St. Thomas」

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1961年発表のアルバム「It's Morrissey, Man!」の冒頭を飾る曲。淀みなく突っ走るサックスが痛快爽快。

ディック・モリシー(Dick Morrissey)は、1960年代初頭から自身のカルテットを率いて活動した英国人サキソフォン奏者。このアルバムを含め、彼のカルテットは1960年代にイギリスのFontanaとMercuryレコードに3枚のアルバムを録音した。

この3作品、多くの楽曲が未だにストリーミング未解禁なのが残念。

実は1990年代に、日本のNormaというレーベルが、Chris Morrisseyという人からライセンスを受けて「Storm Warning!」と「Here And Now~」をCD・LP化。2000年代には日本のユニバーサルから「It's Morrissey, Man!」と「Here And Now~」のCDとLPが出たため、日本はこの人の作品を(下手すると英国本国よりも)入手しやすい環境にある……のかもしれない。

ちなみにChris Morrisseyという人、Discogsでは「ディック・モリシーの息子」ということになっており*2Wikipediaでは「ディック・モリシーの弟」*3スイングジャーナル(日本のジャズ専門誌)では「ディック・モリシーの兄」ということ*4になっている。何者???

 

原信夫とシャープス・アンド・フラッツ、山本邦山「茶切節」

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1968年発売のアルバム「日本のニュー・ジャズ」より。1951年*5から2008年*6までの長きにわたって日本ジャズ界を牽引したオーケストラ=原信夫とシャープス・アンド・フラッツと、のちに人間国宝になった尺八奏者=山本邦山の共演作。尺八による即興演奏と民謡のジャズ化(それもオーケストラという複雑な構成で!)という2つの試みを、高い完成度で実現させた名盤。

「Le Tres Jazz Club」という海外のレーベルが、今年このアルバムを復刻発売するらしい*7

この作品は、1967年にリリースされたステレオ盤と、1970年の4チャンネルステレオ(クアドラフォニック)盤の2種が存在。(ステレオ盤を持っていないため)確証はないが、いま各種ストリーミングサービスで聴けるのは、最初に出たステレオ盤と同じ内容だと思う。

4チャンネルステレオ盤「日本のニュー・ジャズ」は、ストリーミングで聴ける音源とは異なるテイクやミックスが採用されている曲があるように感じる。たとえば……

  • A1とA5:4チャンネル盤はストリーミング版と異なるテイクが採用されている?(アドリブのフレーズが違う)。
  • B2:ミックス違い?(ストリーミング版では多重録音で2本の尺八が鳴っているように聴こえるが、4チャンネル盤では尺八の音が1本しか聴こえない)など……

「Le Tres Jazz Club」の復刻盤はどちらの音源かしら。

4チャンネルステレオ(クアドラフォニック)について

一般的なステレオ盤は2つのスピーカー(右と左)から異なる音を出せる一方、4チャンネルステレオは4つのスピーカーから異なる音を出せました。4つのスピーカーを配置し、アダプターを通してレコードを再生すると、音に包まれるような臨場感あふれる音楽体験ができたり、より詳細に定位を感じられたりする……というのが当時言われた特徴。
しかし、4チャンネルステレオは規格が乱立。オイルショックによる不況も影響して、次第に業界は疲弊。結局、4チャンネルステレオレコードは1980年代を迎える前に姿を消した*8とのこと。

山本邦山について

1937年滋賀県生まれ。父は初代山本邦山。父が亡くなると、周囲のすすめで尺八の修行をはじめる*9唯是震一(国際的に活躍した箏奏者)を通じて、トニー・スコット(米国人ジャズ・クラリネット奏者)と知り合うと、この三者でアルバム「Music For Zen Meditation And Other Joys」を1965年に制作。尺八による「アドリブ・ソロ」を実践。
これ以降、尺八による即興演奏の可能性を積極的に開拓。1970年に録音したLP「銀界」は、尺八によるフリー・インプロヴィゼーションの傑作として、何度も再発売されています。2014年没。

 

Bruno Spoerri「Les Electroniciens」

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スイスのジャズだョおっ母さん。

Lansing Bagnallというフォークリフトとかを作ってる会社が贈呈用に作成したレコード*10の音源を編集したものらしい。「Les Electroniciens」というのも本当は曲名ではなく、ブルーノ・シュペリ(Bruno Spoerri)という人が率いるバンドの名前のよう。

ノイジーなギターとベースにドラム、あと謎の電子音が縦横無尽に入り乱れている。マッド。よくわかんないけど途中で木切ってますか?良いネ。生まれて初めてサディスティック・ミカ・バンドを聴いたときに似たクレイジーな興奮を覚えました。

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ブルーノ・シュペリ(Bruno Spoerri)は、スイス出身の音楽家。1970年の大阪万博ではThe Metronome Quintetというジャズグループを率いて演奏を披露。このときの日本の印象をもとにつくられたミニアルバム「The Metronome Quintet At The Expo 70」は、オルガンとサックスを使った近未来宇宙的サウンドが魅力的。あとジャケットの日本語が怪レい。良いネ。

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「At The Expo 70」、2010年に復刻発売されたので、今でも運が良ければ手に入るかもしれない。復刻されたときジャケットのデザインが変更されたけど、やはり日本語は怪レかった。良いネ。

余談:上の動画(Expo-Bluesという曲)の冒頭にある女性アナウンサーの音声は、オリジナル盤には無い。復刻盤で付け足されたものだと思う。

 

おまけ

このブログをはじめたときは「ブログはあくまでアドカレ用。過去を振り返るならSNSの言動を振り返ればわかる」と思っていた。でも「最終的に自分にとってどんなひと月だったか」を書いておけるのはSNSよりブログだよなぁ、と思い始めている。これからもひと月の締めくくりにブログを更新しようかな、と思っている。わたし忘れないかな。

 

脚注など